【トレーニングの思考】Joint by Joint理論

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目次

Joint by Joint理論とは

可動性と安定性

エクササイズについて

スタビリティエクササイズ

モビリティエクササイズ

トレーニングへの応用

パフォーマンス向上に必要な可動域
  • 脊柱柔軟性
  • 胸椎可動性
  • 股関節可動性

脊柱柔軟性

脊柱は椎体と椎間板の高さの比によって屈曲、伸展や側屈の可動域が決まり、椎間関節の角度によって回旋の可動域が決まります。
 スポーツ動作で体幹の回旋動作は非常に重要であり、バッティングやゴルフのスイングなど多くの競技の主動作です。脊柱の可動域を見ていくと、腰椎椎間関節の関節面は矢状面で向き合っているため、1つの腰椎においては2度程度しか回旋可動域を有しておらず、腰椎全体でも5~15度程度しか回旋角度がなく、体幹をほとんど回旋しない事がわかります。従って、スポーツ動作における体幹の回旋は構造的に不安定な腰椎部で起こっているのではありません。
 一方、胸椎の各椎間は、それぞれ8度程度の回旋可動域を有しており、胸椎全体で30~35度回旋角度があり、体幹の回旋がほとんど胸椎で起こっていることがわかります。胸椎と肋骨は第10肋骨までは骨性に連続した胸郭を形成しており、構造的に非常に安定しています。そのため、肋骨間の挙動も胸椎の可動性に大きな影響を及ぼしています。
  残念ながら、胸椎での回旋可動域の不足に伴う腰椎での代償運動が見られ、腰痛の原因や肩周囲の傷害の原因になっている事が散見されており、胸椎の可動性(Mobility)がスポーツ動作において重要です。従って、コアトレーニングの開始の前もしくは開始と並行して、胸椎の可動性向上トレーニングを実施すべきです。

胸椎可動性

股関節可動性

股関節は球関節で非常に大きな可動域を有していますが、腸腰筋群、ハムストリングス、内転筋群や回旋筋群の筋緊張によって可動域が制限されている事が多くみられます。股関節は地面から得られた反力を体幹部に伝え、それを動作に変換する中継地点であり、不十分な可動域は代償動作および運動連鎖の破綻を生み、パフォーマンスの低下や外傷・障害の原因となってしまいます。

従って、体幹筋トレーニングの開始の前もしくは開始と並行して、股関節の可動性向上トレーニングを実施すべきです。 このように人体において、可動性が求められる関節と安定性が求められる関節が交互に存在します。このことを「Joint by Joint Approach」と言い、アメリカでファンクショナルトレーニングを広めたGrey CookやMike Boyleらによって提唱されています。安定性(Stability)が求められる関節が支点となり、可動性(Mobility)が求められる関節が作用点となる事で身体の各セグメントはスムーズに動かす事が可能になります。
  このようにただ体幹筋群を鍛えて腰椎を安定化するだけではなく、体幹筋群をパフォーマンス向上に活かすためにはその前段階の準備として股関節と胸椎の可動性のトレーニングが必要です(図3:体幹筋トレーニングにおける可動性と安定性(Joint by Joint Approach)

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